「T.W.O.D」についての解説をいただきました。
SignaLの代表大月氏と、ギャラリーINTROART代表の浜崎氏。
前者は物語の内臓をえぐり、後者は外殻を浮かび上がらせてくれています。
自然発生としてのリアル 解説/大月 智弘
「DALALAの世界」に訳注は一切ない。
読者の「ソウゾウ」に制限を与えたくないからだと思う。
前衛的な小説の定義はわからないが、混沌とした闇の世界を描くことが、前衛的意義のひとつなのは間違いない。
文士気取りになっていないかどうかと、MOTIVE本人は気にしていたが、この際、その気になってしまえばいいと思う。予備知識のない読者でも充分に入り込める物語として成立しているし、処女作(小説)の気負いもほとんど感じない。偶然の照応を期待した意図もうまく機能しているし、根底にあるHIPHOPへのオマージュも、決して忘れてはいない。拾える奴は拾える"コトバ"。謎解きとも取れる"どこかで聞いたコトバ"。"コトバの先にある世界観。どこにフォーカスするかで、メッセージは何通りにも膨らむ。
「僕」が、僕らにとって必要な感覚を語っているのだろうか。前向きな堕ち方なのか、依存の恐さを唱っているのか。いずれにしても、「僕」や僕らを支配しているのは、出来事自身ではなく、出来事に対する「見方」なのだ。物語のリアルよりも、物語で動いた自分の気持ち。
" 敵を間違えちゃいけない。こちら側の世界はもちろん、あちら側でも"。。
「イズム」にも「世代」にも縛られない立ち位置を維持してきた数少ないトラックメイカーの一人であるDJ-MOTIVEが、遂に予想もしない領域に踏み込んだ。膨大で多様なインプットが、アウトプットに直結した素晴らしい楽曲群。物語執筆により、新たな世界観を提供した今も、"音ありき"の姿勢は決して崩さない。
楽曲と物語。どんな楽しみ方でも構わないと本人は言う。
そして、今作でも抜群の相性を魅せてくれた画家のNOVOL。MOTIVEの「ソウゾウ」する世界観を今までにないアプローチで表現。2人の相性と互いの多彩な感性には、まったく底が見えない。
DJ-MOTIVE、素晴らしい作品をありがとう。
"油断すると元の世界に戻ることが出来ないんだ、気の毒だけど"。
きっと、僕らはあまりに危うい人生を歩いてる。
INTROART 浜崎氏 評
パラレルワールドのような感覚に陥る作品の世界。あるいは現世界とのシンメトリ-の世界。MOTIVEの紡ぎ出す言葉の流れには、音を感じられずにはいられないことは、これから読む読者にも共感できることだ。あちこちに飛び散る思想や音や言葉を一つの作品としてこの小説というBOXに呼び寄せ、悲傷的な協奏曲を作り、壮大なオーケストラの音さえ聞こえてくるようだ。
小説の背景にある、ルイセンコの思想が具に散りばめられているのがまた、作品に深みを与える。遺伝というカオスの中で、人間の力によって、人間の努力によって如何様にもそのルールを変化し、進化させることができるというスターリン政治の共産主義国家の主題とも言える人間のエゴイズムの可能性や限界を多様な表現でこのDALALAの世界が我々に問いかけてくれる。
ロシアの文学の流れであるアレクサンドル・プーシキンやフョードル・ドストエフスキーから、宗教を強く否定したマルクス・レーニン主義と共にあるプロレタリアート、そしてレーニンの死後も提唱を続けたスターリンの政治のルイセンコの学説にいたるまでの現ロシアで起こる怒涛の世界こそ「調和」を切に求めた唯一の場所なのかもしれない。
タラフがこのモノガタリの続きに見る世界・作り出す世界は「調和」求めすぎる人間の失敗、それとも人間という「指針」を踏まえた新しい世界なのか。
この小説は単なる音の遊びや単なる小説ではないようだ。挿絵を描いたNOVOLも文章を書いたMOTIVEも今までとは全く違う世界とパフォーマンスを見せてくれている。しかし二人にとってはこれからのアーティスト活動で表現するべき当たり前のマテリアルの一つでしかない無限の可能性をこの作品からは感じさせられるのだ。
なるほどなあ。
むずかしー。
僕はサンプリングという概念を使って物語(小説と呼ぶのはおこがましいです)を書きました。
それも極めて不親切な。
大月さんの言うように、読者の「ソウゾウ」に制限を与えたくないからです。
言葉や名前を掘り下げることで、物語の隠れた背景を探るもよし、
観念的な物語であると捕らえるもよし。
人それぞれです。
一番正しい感じ方の見本。
iTunesで購入してくださった方のレビューです。
素敵なジャケットでお邪魔してみれば
視聴→即買いクリック。
ヒップホップ?エレクトロニカ?ワールド?
どれでもなく、そこは「ダララの世界」でした。
何がダララなのか、それは聴いてのお楽しみ。
ハマリます。
狙い通り。
すばらしいです。
ただ、もしサブタイトルをつけるなら
ネイティブアメリカンとコミュニズム、
2つの「レッド・パワー」と信仰とシンカ。
あるいは翻弄される人々と突然変異の天才。
という感じでしょうか。
アグネア
テカムセ
接木
ロストバード
ズニ
ミハイ エミネスク
シナヤ
・
・
・
言葉をまるでレコードみたいに掘りまくってください。
大月さんがさらに裏テーマを提示してくれました。
「自己模範からの脱却」
なるほど。
みんな脱却したくてあがいてます。
こちらの世界でも、あちらの世界でも。
じゃなきゃお話なんて書きません。
僕の描いた「世界」と果たして何人が一致するのかが楽しみでもあります。
そんな感じです。
ちなみにタラフのモデルは
「シャア(これも赤い)」、「レクター博士(脳好き)」、「カーズ(究極生物の)」....
どれもずるくてかしこい究極のヒーローです。
そしてかっこいいことに、
みんな何処かに行ってしまったのです。
作品のレスポンスは財産ですね!
みなさんの感じ方、どれも読んで面白いです。深いし、上手いなぁーと思って読ませもらいました。
けんじくん、
VIPな掲載、ありがとうございます。
ペダソはペダソなりの解説ですが。。。笑
でも、あれだね、主役だけで物語は成り立たない。
フィクションでも現実でも。
そんな意味でも、
すごく勉強させてもらいました。
テカクイタ=マチルダさん。
ほんと、みんなに読んで、聞いて欲しいね。
こちらにお越しくださってありがとうございます。
感激です!
私自身、ダララーになる日も近し。。。な気がしております。。。
ただ、なんとなくサラッと流したくない感がありますので、
余裕があるときに、芯からどっぷり浸りたいと思っています。
キルト頑張りますね!ありがとうございます!
28くん
財産です。
いつかダララーと討論会が夢ですw
おーつきさん
いやいや、タラフレベルの解説ですよこれは。
テカクイタ=マチルダ
まさに!母性出しまくりです。
maki さん
ありがとうございます!!
サラッと流したくない感じ...書いてよかったと思います。
ダララーになったアカツキにはぜひお知らせをw