KOGISO SHINSUKE

毎日がエブリディ

KOGISO SHINSUKE

闇鍋の具

12.20, 2013

boy

 

小学生~高校生の初めまでボーイスカウトに入ってた。

 

夏になるとキャンプに行った。僕が中学生の時だ。このキャンプはお遊びっていうよりもスパルタンな内容で、

「今日の夕食を近所の農家さんから分けて頂きました!ありがとう!ヤサカ!」

って団長がもらってきたのは生きてるニワトリだったりした。

2班に1羽ずつ支給されたニワトリを僕らはシメ、血抜きし、茹でて、羽根をむしった。

最後は農家のおじさんが捌いてくれて、それを焼いて晩御飯にする。そんな感じのキャンプ。

 

あるキャンプの夕方、団長が全員を集め言った。

「今日の夕食は闇鍋だ。ミソを支給するので各班で食材を集め鍋を作れよ。あ、キノコはやめとけ毒あるから。」と。

 

僕らは班ごとにミソと鍋を用意して、火をおこし、ミソの汁を用意した。食材は各自で集めて来るってことで火の見張り

以外は山に散って食材を探し始めた。

うまくいけば魚や野草、山菜なんかが採れそうなものだけど、団長の告知が夕方だった為、既にあたりが暗くなり始めてて

なかなか食材となるものが見つからない。見つからないと今日の夕食は具ナシ味噌汁となる。

班員からも役立たずと言われそうだ。それは避けたい。

 

僕は山を少し降りた場所にある小川まで来て、手製の網で魚を採ろうとしてた。小さなハヨやフナならなんとかすくえないか

と思ったからだ。川に入りアミをふるうものの、網の目が大きすぎて、小さな魚は採れなかった。

しばらく奮闘したところ、唯一捕獲できた生き物がいた。「アマガエル」である。

 

はたしてアマガエルは食材としてアリなのか?以前ウシガエル(食用カエル)は食べた事があって、

鶏肉に良く似てた記憶がある。あれよりかなり小さいけど食べるとこあんのかなって思った。

さらに時間が経っても結局、2匹のアマガエルしか捕まえる事ができなかった。辺りは暗くなりこれ以上はムリだわ。

 

しょうがないので戻って、僕はアマガエルを班の鍋にすばやく投入しフタをした。他の班員も次々と何かを投入してた。

他の班員から「何入れた?」とか「魚?ね、魚?」って言われたけど、「グフッ内緒」の一言で片付けた。

「ナマモノもあるだろうからよく火を通せよ。」とリーダーからの通達があり、僕らは小一時間ほどそれを煮込んだ。

鍋からは何ともいえない変な匂いがしたが、ミソの大量追加投入で気にならなくなった。

 

「皿に盛ったものは必ず食べる」それが闇鍋のルールだ。ゴハンも炊き上がり暗闇の中で食事が始まった。

取り分けられた味噌汁を手に「頂きます!」と一口食べた。なにこれ意外に美味い。

誰かが採ってきた「野菜的な何か」や「ジャガイモ的な何か」、そして「なんだかわからない何か」が渾然一体となって押し寄せてくる。

これは「何か」の宝石箱や。

班員も美味しい美味しいと口々に評し、意外にも僕らの鍋は大成功だったと思う。アマガエル入ってるけど。

 

班長が、何かを食べながら「ナニコレ?やたらと骨ばっかりのヤツがあるけど、ナニコレ?誰が入れた?」と言ったが

それが一体何であるかはわからない様だった。なんとなく「テヘヘ、それアマガエル!」とは言わなかった。

空気を読むって大事です。

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