床下秘密
3.25, 2014
「よし、今から持ち物検査するぞ~!机の中の物を全部出せよ~」
中学の時のHRで先生が言った。
定期的に行われる検査で学校に変なものを持ち込んでいないか、そして余分な教科書を学校に置いていないかを先生がチェックするのだ。
前者は特に問題ない。問題は後者だ。
学校にはその日の授業で使う教科書だけを持ってくるのがルールだった。でも教科書は重い。さらに持って帰るから忘れたりもする。
また通学時に分厚いカバンを持っている事はダサイとされていた為、学校に教科書を置きっぱなしにしてるヤツが多く存在し、
冒頭のチェックで見つかりお叱りを受け、その日は全ての教科書を持って帰らされていた。これが本当に重くてツラくてダサイ。
僕も重くてツラくてダサイのはイヤだったが、いつも学校に教科書は置きっぱなしだった。その日も見つかって叱られ、全部を持ち帰った。
やっぱり重くてツラくてダサかったので僕は考えた。どっか先生に見つからない場所はないものかと。
部室とか裏山とかは教室から距離があり運用にムリがある。出来ればこの教室内にこっそり隠しておく場所はないものかと。
放課後の人気のない教室、友達と2人でくまなく探してみた。
教室の後ろの隅っこに掃除道具を入れる木製ロッカーがあった。直接ココに教科書を隠しても先生に即見つかる。
僕らはその床に注目した。床に張られた木をコンコンと叩いてみると軽い音がする。この下には隙間があるようだ。
次の日、技術室から拝借してきた道具でロッカー内の床に穴を開けてみると、その下には30cmほどの空間があるようだった。
さらにノコギリで床の部分をキレイに切り取ってみると、教科書なんて余裕で入る空間が出現したのだ。
僕らは切り取った部分に蝶番をつけて開け閉めできるようにし、開けやすいように小さなツマミをフタに取り付けた。
僕と友達の教科書を全部そこに入れフタをした。ちょっと見ただけではわからないよこれ。まだまだ4~5人分の教科書は入るようだ。
僕らは秘密のロッカーを手に入れたのだ。
秘密のロッカーは先生に気づかれる事なく、僕らはウマい事やってた。でも教科書を出し入れするする際に何人かのクラスメイトに
バレ、口外しないことを条件に秘密のロッカーの使用を認めた。ロッカーの床下はなんかすごくたくさんの教科書が整然と並んでる
変な場所になった。
何度かの持ち物検査をクリアしたある日、先生に呼び出された。キレッキレの先生に「コレを見てみろ!」と引っ張って連れて行かれ
たのはロッカー前。勢いよく開けられたドア、そしてその床は・・・
あふれるように詰め込まれた教科書。そして肝心のフタが閉まらず、ちょっと浮いてる。一目で何かあるってわかるレベル。
噂がウワサを呼び、総勢10人分ぐらいの教科書が僕らの秘密のロッカーに詰め込まれてた。中学生ってばかだな。
結構問題になって、担任にはめちゃめちゃ怒られたけど、校長先生が怒らずなんとなくフワッと創意工夫を褒めてくれたのは良い思ひ出。
Leave a Comment